先般、日経新聞に2024年度の経済財政白書(内閣府)の原案についての記事が掲載されていました。(2024.7.29日付)
記事によると、世帯当たりの金融資産は年齢を重ねるにつれて右肩上がりに増え、60~64歳でピークに達し、平均保有資産は約1800 万円強とのことです。65歳以降になると取り崩す動きがでてくるものの、ペースは意外と緩やかで、85歳以上でも1500万円強の金融資産があるそうです。
つまり老後に備えての金融資産は80歳を過ぎても平均で1~2割しか減っていないという計算になります。
白書案では、「公的年金や勤労などで得られる所得の範囲でほとんどの消費活動を賄っており、老後の生活のために蓄積した資産を切り崩す程度は限定的」と指摘し、「長寿化によって長生きリスクがより強く意識されている」と分析しています。
ここから推測されることは、自分が何歳まで生きるかなんか誰もわからないので、万一に備えて、ある程度の蓄えは持っておきたいと考えると、手元のお金は使わずに、日々の生活は節約志向に走る(年金と勤労収入に範囲内でやりくりする)ということ。
裏を返せば、贅沢しないなら、日々の暮らしは年金と勤労収入で何とかなるということと、ゼロで死ぬことは言うのは易しいが行うのは難しいということかもしれません。
かつて老後2000万円問題が話題になりましたが、昨今は物価上昇なども相まって、老後は4000万円とか5000万円必要という人もいるそうです。こういったものは本当にきりがないので、いくらあっても安心できません。かといって、死ぬときに大金を持っていても仕方がないのも事実です。
結局のところ、この問題の解決法は、自分が今後どのくらいのお金が必要かということを具体的に計算するしかありません。今幾ら持っていて、今後必要な金額が幾らくらいなのか。年金がどのくらい見込めるのか、いつまで働く必要があるのかなどの計算です。
若干の余裕を持たせたとして、何とかなるという見込みになるならば、徒に不安がる必要はありません。
ケチケチせずに生活の質を上げるために、使うべきところにお金を使いましょう。
お金は持っているだけではダメで、使ってこそ活きるものだからです。
さて、新NISAが始まりました。満額にするには5年かかりますが、全部の枠を使うと1800万円です。非課税なので仮に5%で回すと、年間90万円になります。元本を取り崩すのが否ならばこの運用益だけを使えばいいですよね。(もっともこれは仮定の話なので、運用結果がマイナスになることも当然あり得ます。逆のパターンも当然あり得ます。)
それでも毎年海外旅行に行くには十分でしょう。
新NISAについては、こちらの記事もご覧ください。
定年後もまだ働くならば給料が入ってきます。厚生年金も上積みされます。65歳以降も余裕があれば年金を繰り下げると年金の金額は増加します。(1月当 0.7%)
元気ならば65歳や70歳くらいまで労働収入を得ることは可能でしょう。
こういったものは計算できる収入です。
しかし、給料はいつまでも当てにはできないので、投資も考えましょう。
よく年代別の投資パターンとかいうのが提案されます。
つまり若い人は時間を味方にできるからリスクの高い商品で運用できるが、60代以降は債券などの低リスク商品を中心にするべきだみたいな話です。株は振れ幅が大きいので、リーマン級の暴落が起きたらシニア世代は回復できないという趣旨でしょう。
まあ一理あるのでしょうが、60代でも株で運用すればいいと思います。要はどれだけリスクに耐えられるかということでしょう。
ここで気をつけたいのが、欲を出して、変な話に騙されないようにするということです。
退職金を手にしたシニア世代を狙った特殊詐欺も増えているようです。
折からの投資ブーム、絶対儲かるなどと甘い誘惑に乗っからないように、少なくともうまい話には裏があると思うべきだし、自分で理解できないものに手を出すのは控えましょう。
ただ使い道や終期は意識した方がいいですよね。
よくFIREするために生活費を切り詰めて投資したなんて話がありますが、シニア世代にはナンセンスでしょう。お金は生活の質を上げたり、やりたいことをやったりするために使いましょう。
そして、使い切ることを考えて、余り欲張らず、許容できるリスクの範囲でより条件のいい運用を考えたらいいのではないでしょうか。