人生100年時代は来ない!? ~ライフプランの考え方~

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10月8日付の日経新聞に「『人生100年時代』来ない!?」という記事が掲載されました。

イリノイ大学などのチームが10月7日にアメリカの科学誌「ネイチャーエイジング」に発表したもので、日本を含む長寿の国では、ここ30年で寿命の延びは鈍化しており、今世紀中には100歳まで生きる人の割合が女性15%、男性5%を超えることはないという予測です。

一方、リンダ・グラットンの「ライフ・シフト」が切っ掛けなのでしょうが、ここ数年「人生100年時代」という言葉が人口に膾炙しています。100年は切りがいいし、言いやすい。例えば「人生90年時代」というのとでは、聞いた時の感じが違います。

80年が90年になるならまだしも、これだけ100年という言葉が世の中に広まっていると、100年から90年になると損したような感じになりませんか。ですので、今更90年と言われてもしっくりこない訳です。

とは言っても、将来のことはわからないというのが正直なところでしょう。医療の進歩、科学の進歩を期待します。

さて、ライフプランを考える場合、「何歳まで生きる前提か」というのは大きなポイントです。そんなことは誰にも分らないのですが、ライフプランは生涯にわたる資金計画なので、一応、終期となる年齢を設定します。取り敢えず平均寿命ぐらいまでで考える人もいるし、「人生100年時代」なのだから100歳まで、あるいはもっと先を設定する人もいます。

公益財団法人生命保険文化センターの「2023年度 ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査」によると、「自分が何歳まで生きると思うか」という質問に対し、「80 歳代」が 48.5%と最も多く、次いで、「90 歳代」が 28.1%となっています。平均で86.2歳、「100 歳以上」と答えた人は僅かに6.0%です。

年齢別にみると、60歳代、70歳代では、80歳代まで生きると答えた人は約半数、80歳代前半で約4割が90歳代まで、80歳代後半で約6割が90歳代までと答えています。更に90歳代になると約3割が100歳以上と答えています。

つまり60歳代くらいでは何となく80歳代くらいかなと思いつつ、いざ、自分が80歳代や90歳代になると、「ここまで生きたんだからもっといけるだろう」と思うのでしょう。

ですから、80歳代で慌てないように長めに想定しておく方がいいのでなないでしょうか。

長生きリスクの保険となるのが「年金」です。年金は、一生涯貰えます。 

勤労収入は、いつかはなくなるでしょう。(生涯現役という人もいるでしょうが。) 

となると、勤労収入を得られる間はできるだけ勤労収入を確保して、その収入で何とかなるのなら、年金は繰り下げるという戦略が考えられます。例えば、70歳まで働くとして、その収入で何とかなるのなら、年金を5年間繰り下げると、42%増加します。更に75歳まで繰り下げると84%の増です。

実際に繰り下げしている人は少数派です。が、徐々に増加しています。

厚労省の「R4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年度末時点で 70 歳の老齢厚生年金受給権者の繰下げ率は上昇傾向にあり、令和4年度末現在で 2.1%となっています。同じく、国民年金(老齢厚生年金の受給者を除く)においても、令和4年度末で3.3%と同様の傾向が見受けられます。     

 厚生年金国民年金
H30年度 1.2% 1.7%
R元年度 1.5% 2.2%
R2年度 1.6% 2.6%
R3年度 2.0% 3.1%
R4年度 2.1% 3.3%

途中で貰いたくなれば申請すればいいので、そんなに気にしなくてもいいように思いますが、少数である理由は、やっぱり「貰えるものは早く貰いたい」という心理が働くのでしょう。

年金は保険なので、元をとるという発想はそもそもおかしいのですが、例えば70歳まで繰り下げた場合は81歳、75歳スタートだと86歳まで生きないと元はとれません。(額面で計算した場合です。手取りで元をとるにはもう少し期間が長くなります。) 

後は、税金や社会保険料が増加する問題でしょう。

年金が増えても税金や社会保険料が増えて手取りが減ってしまうと悩ましいです。その他にも、加給年金が貰えなくなる(余り関係ないような気もしますが)などのデメリットもあります。 

現実的には、年金が貰えるようになる65歳までは働いて、その後はその時の状況で、繰り下げるかどうかを考えるというでしょう。貰いたくなれば何時からでも貰えます。繰り下げは月0.7%の運用と同じです。

加えて、資産運用で別のお金を作っておくと安心ですね。

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この記事を書いた人

昨年定年退職した均等法1期生。
定年後もフルタイムで仕事を続けています。
定年後の不安を解消するため、お金の勉強をスタートしました。
新米のファイナンシャルプランナーでもあります。

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