先頃、日経新聞に「均等法第1世代 起業の道」(2024.7.1)という記事が掲載されていました。
キャリア支援を手がける「株式会社 Next Story」代表取締役の西村美奈子さんのキャリアの道筋が紹介されています。
記事によると、西村さんは、均等法施行前に富士通に入社、主たる働き手は男性という時代の中、結婚、出産後も働き続けてこられました。両立への悩みから退職を考えたこともあるそうですが、工夫を重ねて乗り切り、部長職にもついたそうです。
役職定年の研修に参加すると、「女性は想定されておらず、妻のいる男性向け」だと感じ、かといって、女性向けのキャリアイベントは「ターゲットが子育て世代なので、自分と重ね合わせられなかった」とのこと。
その後、大学で定年後の女性のキャリアをテーマに研究を重ね、起業されました。
均等法第1世代の人は、多かれ少なかれ同じような体験をしていると思います。
今でこそ働く女性は増えましたが、そして、勤続年数も長くなっていますが、当時は長く働く女性は少数派。
定年を迎える年齢まで正社員として働き続けた人も少数派でしょう。
記事の中に、「セカンドキャリアを考える年齢に差し掛かった際、ロールモデルが身近にいないことが悩みだった」という記載がありました。まさしく同感です。
さて、定年後の働き方については、女性の場合は、60代前半で62.7%、60代後半で41.3%となっています。(R5「高齢社会白書」)。自分の周りを見ても、直観的にそういう感じがします。
男性がほぼ働いているといっていい状況にあるのに比べ(60代前半で83.9%、後半で61.0%)、女性の場合は、まず、いつまで働くのという第1の選択肢があるように思います。
「パートナーが働いている」、「貯金もそこそこある」、「子ども独立した」、「住宅ローンも完済した」、「これからは好きなことをやりたい」など、理由はともあれ、女性の場合は男性に比べて、「定年後いつまで働くのか」、もっと言うならば「何故働くのか」という問いがまず立つような気がします。
そして働く以上、「其れなりに満足できるものじゃあないと嫌」、つまり「無理してまで働きたくない」という人が多いような気もします。
均等法1期生の定年女子が、何はともあれ定年まで働いてきたのは「仕事が好きだった」とか、「面白かった」、「自分の食い扶持は自分で稼ぐのは当然のこと」など、働くことに対して何らかの価値を見出していたはずです。
しかし、定年という節目に際して、このままの状態を続けてもいいのかと、ふと考えてしまうのです。
記事の中の「まずは自分のやりたいことや、自分の幸せを第一に考えて」に同感。でも、所謂仕事がしたかったら仕事すればいいと思います。ですので、同じく「よりよいキャリアを目指すのもいい」にも同感です。
ハッキリしているのは、「時はあっという過ぎる」ということです。
「やりたいことをやる」、「楽しいことをやる」、「少なくとも、やりたくないことはやらない」から始めてもいいと思います。