文系のビジネスパーソンが副業や独立のために資格を目指す場合、真っ先に思いつくのが社労士や宅建、中小企業診断士ではないでしょうか。
ここでは敢えて、アラ還女子が今から目指す資格としてファイナンシャル・プランナーをおすすめしたいと思います。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の資格には、国家資格のFP技能士と民間資格のAFP、CFP®があります。FP技能士は国家資格ですが他の資格と比べて比較的難易度が低いことや、お金について実際に役立つ知識を幅広く学べることなどから人気があります。
アラ還女子にとって、年金や保険、資産運用や相続など今後知っておいて損のない知識を学べるコスパのいい資格だと思います。
概要
FPは、クライアントの家計や資産状況に基づき、老後資金や住宅資金などの資金計画や資産形成など、お金に関する様々な悩みをサポートする「お金の専門家」です。
国家資格であるFP技能士と民間資格であるAFP、CFP®があり、FP技能士には1級、2級、3級と3段階あります。
3級は合格率も高く、試験内容も基礎的な内容ですが、2級、1級となるに従い難易度が上がり、特に1級は超難関資格です。金融機関で仕事をしているとか専門家として独立したいと考えているのでなければ2級で十分です。履歴書にも堂々と書けますし、「お金について詳しい人」という評価も得られます。まずは2級取得を目指しましょう。
AFPやCFP®も2級合格後の上級資格になります。
2級を受けるためには、原則3級を取得しておかないといけません。
2級と3級では試験の科目は同じですが、難易度がグ~ンと上がります。
まずは3級を取得して、次に2級にステップアップしましょう。
試験は年3回あります。9月、1月、5月です。
但し、3級については2024年4月よりCBT(Computer Based Testing)試験へと移行するので、3日前までに申し込めば随時受検できるようになります。従来の紙の試験は2024年1月で終わりです。
気を付けないといけないのが法令基準日です。9月試験はその年の4月1日、1月と5月試験は前年の10月1日です。制度が変わると混乱するので勉強のスケジューリングに注意しましょう。
おすすめする理由
1 比較的難易度が低い
2 勉強したことが即役立つ
3 定年退職後の肩書に使える
4 金融機関からのセールスに対抗できる
5 仕事につながる
1 比較的難易度が低い
FP試験は「特定非営利法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)」と「一般社団法人金融財政事情研究会(きんざい)」の2団体が行っています。
どちらで受けても資格の価値は同じです。試験の内容等若干の違いはありますが(学科は共通、実技試験の科目が異なります。)特にこだわりがなければ、一般的にはFP協会の試験を受ける想定と考えておけばいいと思います。
以下、FP協会バージョンで記載しています。
試験は筆記と実技があります。どちらも6割とれれば合格です。
1 筆記試験(60点満点で36点以上で合格)
①ライフプランニングと資金計画
ライフプランニングや社会保険、年金、住宅ローンなどについて出題されます。
②リスク管理
生命保険、損害保険、傷害保険や個人年金保険などについて出題されます。
③金融資産運用
債券、株式、投資信託、外貨預金、投資計画などについて出題されます。
④タックスプランニング
所得税や法人税、確定申告などについて出題されます。
⑤不動産
不動産の取引、建築基準法、不動産に関する税制などについて出題されます。
⑥相続、事業承継
相続や贈与、相続税の計算などについて出題されます。
2 実技試験(100点満点で60点以上で合格)
資産設計提案業務
保険証書の読み取りや相続税の計算など、実際にファイナンシャル・プランナーとして業務を行うにあたって必要な知識が出題されます。
(参考)きんざい実技試験(下記から選択)
3級 「個人資産相談業務」
「保険顧客資産相談業務」
2級 「個人資産相談業務」
「中小事業主資産相談業務」
「生保顧客資産相談業務」
「損保顧客資産相談業務」
R5.9月試験合格率(FP協会実施分)
3級 学科 74.78% 実技 77.67%
2級 学科 53.54% 実技 52.02%
R5.5月試験合格率(FP協会実施分)
3級 学科 88.25% 実技 86.83%
2級 学科 48.82% 実技 58.61%
3級の合格率は比較的高いです。
独学で十分です。気に入ったテキストと問題集を1冊ずつと、過去問を繰り返し勉強すれば大丈夫です。独学だとやる気がしないという人は、スクールや通信という方法もあります。
2級になると難易度がグ~ンと上がりますが、こちらも基本独学で大丈夫です。
ちなみに最初はよく分からなかったので、定番のテキストを選びました。2級は同じシリーズにしようかと思ったのですが、テイストに飽きてしまったので、敢えて違うテキストにしました。
2 勉強したことが即役立つ
FPの6科目「ライフプランニングと資金計画」、「リスク管理」、「金融資産運用」、「タックスプランニング」、「不動産」、「相続、事業承継」を勉強すれば、お金について全般的な知識を得ることができます。
将来の生活を考えるときにベースとなるのはライフプランニングの考え方です。
加えて年金や保険、相続等々、将来的に必ず発生するであろう問題について知識を習得でき、具体的な問題が発生したら自分で計算したり対応を考えたりすることができるようになります。
制度は頻繁に変更されますし、細かいところや例外的なことまで押さえる必要はありません。
大きな枠組みを一度きっちり勉強しておくと、変更があったとしても何が変わったかわかるし、下世話に言えば、損か得かもわかります。自分で調べて、自分で対応することができるようになります。
資格取得のためだけの勉強にならず、勉強したことが実際に役に立つ知識になるのがFPの魅力でしょうね。
お金について勉強しようと思っても何もないと何から手をつけたらいいのかわかりません。
資格取得を目標にすると勉強のモチベーションも上がります。
3 定年退職後の肩書に使える
会社を退職すると、所謂肩書がなくなります。
よく、元〇〇部長だとか元〇〇課長とかの肩書を名刺に入れている人を見ますが、哀しいものがありますよね。元〇〇といっても誰も何とも思ってくれません。
今、自分が何者なのかを表すのが名刺です。
定年女子が会社を離れた後でも、「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」などの資格を持っていると、「お金のことに詳しい人なんだな」と思って思えるので重宝することも事実です。
4 金融機関からのセールスに対抗できる
知識を持っていると金融機関に騙されないというメリットがあります。
特に退職金が入った後などメインバンクからセールスの電話がガンガンかかってきたりしますが、冷静に対処することができるでしょう。また保険の見直しや退職金の運用なども、金融機関の人に言われるがままではなく、自分できちんと考えることができます。
5 仕事につながる
FP2級は持っている人は沢山いますから、それだけで専門家としてやっていくのはしんどいでしょう。でも、試験科目の広範さからもお分かりのように、FPは「お金全般について知識を持っている人」ですので、そのような知識を活かしてお金についてのアドバイスをするなどの仕事につながるかもしれませんよね。
まとめ
・FP2級は国家資格の中では比較的難易度が低く、独学でも十分合格できます。
・2級をとれば、名刺にも書けますし、お金のことに詳しい人という評価を得ることができます
・専門家を目指すのでなくても、自分の生活設計を考えるうえで役に立つコスパのいい資格です。