第4回は「月もりんごも落ちている?」と題して、ガリレイとニュートンが導き出した「重力の法則」についてのお話です。
この番組で面白いのは、毎回スタジオで、ある現象を実感できるちょっとした「実験」が行われることと、「思考実験」の紹介があることです。
さて、「重いもの」と「軽いもの」を落下させたら重いものの方が速く落下するというのがふつうの日常感覚でしょう。しかし、ガリレイはここに疑問を持ち、思考実験や実際の実験で確かめるのです。
ガリレイの思考実験がなかなか面白いです。
A 10kgの箱
B 10kgの箱と1kgの箱を紐で結んだもの
C 10kgの箱と1kgの箱をひとつにまとめたもの
重いものは軽いものよりも速く落ちるという前提のもとでの思考実験です。
AとBではどちらが速く落ちるのか。
一見Bのほう速いように思えます。しかし重いものが軽いものより速く落ちるという前提ならば、逆に言うと、1kgの箱は10kgの箱より遅く落ちます。
つまり、Bの10kgの箱は紐に結んだ1kgの箱に引っ張られて減速するので、Aの方が速く落ちるのではないかと考えられるのです。
AとCではどうなのか、Cの方が重いので速く落ちると考えられます。
そうするとBとCは同じ重さなのに、「紐で結んだとき」と「ひとつにまとめたとき」とで落下速度が異なるのはおかしい。
そしてガリレイは、「ものが落ちる速さは重さに関係なく一定ではないのか」「羽根のような軽いものが、ゆっくり落ちるのは空気抵抗のせいではないか」と考えたのです。
ピサの斜塔から「鉄の玉」と「木の玉」を落として実験したという有名な話は後世のフィクションらしいですが、スタジオでは、「4キロの鉄の玉」と「400グラムの木の玉」を同時に落として、ほぼ同時に落下する様子が観察されます。またアポロ15号が空気抵抗のない月面でハンマー(1.32kg)とタカの羽根(0.03kg)を同時に落下させる実験の映像が流れますが、ほぼ同時に着地します。これはすごい。「おおっー」という感じになります。
りんごが木から落ちるのを見て万有引力の法則を発見したというニュートン。
りんごは落ちるのに月は何故落ちないのかと考えたのです。
「万有引力の法則」とは、宇宙にあるすべてのものはお互いに引き合う力を持っているということです。
またもやスタジオでボールを投げるパフォーマンスが行われます。
ボールをゆるく投げると、やがてボールは地面に落ちてきます。速く投げてもいずれは落ちてきます。
重力がなければボールは直進しますが、重力が働くため放物線を描いて落ちてくるのです。
ところが速度をどんどん速めて行って、秒速約7.9kmになると、地面に落ちることなく、地球を一周して投げた人のところに戻ってきます。ボールが落ちてくる軌道と地球の球面が一致して、地面に落ちてこないのです。ボールに働く遠心力と重力が釣り合うとボールは地球に沿って飛び続けるのです。人工衛星が落ちてこないのはこの理屈です。
月が落ちてこないように見えるのも同じです。月が飛んでいこうとしても、地球の重力に引かれて地面に落ちてくるものの、落ちる具合が地球の丸みと一致しているので、月は落ちてこないように見えるのです。
ちなみに重力を振り切ると、飛んで行ってしまいます。
ということで、またもや思考実験の楽しさを実感した放送でした。