アラン・ドロンが亡くなりました(2024.8.18)。88歳だったそうです。
アラ還女子の皆さんなら、彼が日本で絶大な人気を誇っていた頃を覚えているでしょう。
私も、ダーバンのコマーシャルのセリフを今でも覚えていますし、
(D’urban, c’est l’élégance de l’homme moderne. ~ダーバン、それは現代の男のエレガンス~)
アラン・ドロンのディナーショーがセールスポイントのヨーロッパツアーもありました。
さて、確かに美男です。
それはさて置き、彼の映画で一番好きなのは、やっぱり「冒険者たち」(1967年、監督:ロベール・アンリコ)です。
おそらく中学の頃に水曜ロードショーかなにかで見たと記憶していますが、見事にはまりました。「夢と挫折」、「海」、「宝探し」、「愛と友情」、「悲劇的な結末」、青春映画の全ての要素がぎっしり入っています。
2人の男と1人の女の物語です。
パイロットのマヌー(アラン・ドロン)、ある時、飛行機で凱旋門を潜り抜けるシーンを撮影するという話を持ち掛けられます(実は騙されていたわけですが)。シミュレーションでは見事成功、いざ本番というとき思わぬアクシデントに見舞われ潜ることができず、結果的に危険飛行を理由に免許を剥奪されてしまいます。
車のエンジンの開発に取り組んでいるローラン(リノ・バンチュラ)、ようやく完成したハイスペックエンジンのテスト運転中に、エンジンが車もろとも爆発してしまいます。
ローランの仕事場のスクラップを利用して作品を制作している前衛彫刻家のレティシア(ジョアンナ・シムカス)、貯金を叩いて開いた個展が批評家に酷評され、将来を悲観してしまいます。
夢破れた3人は、多額の財宝を積んだセスナ機が墜落し海に眠っているという情報を得、コンゴ沖に宝探しに出かけます。
そこに同じく宝を狙うギャング(?)が登場してというお約束の展開が繰り広げられます。宝はめでたく発見されるのですが、ギャングとの争いの中で、流れ弾に当たってレティシアが命を落としてしまいます。
潜水服に包まれた彼女が深い海の中にゆっくりと沈んでいく、このシーンが切ない音楽とともに涙が出る程美しいのです。
「宝が見つかったらどうする?」というマヌーの問いかけに、「海に浮かぶ家を買いたい」と答えたレティシア。そしてローランに一緒に暮らしたいと言うレティシア。
彼女の故郷にその要塞島はありました。
レティシアとの思い出を胸に、島を買ってホテルにしたいというローラン。
そこへパリに帰っていたマヌーが島を訪れます。彼を追ってギャングも現れます。
廃墟の要塞を舞台とした激しい銃撃戦の末、銃弾がマヌーを貫きます。
一人残され、要塞に立つローラン。
カメラがどこまでもどこまでも上空に引いていくラストシーン。強烈に印象に残っています。
この島に行きたいものだと思いました。
パリから南西へ約450キロ、大西洋に面した港町ラ・ロシェルの沖合のフォール・ボワイヤールという島です。元々はナポレオンが対イギリスのための要塞として造らせたとのこと。
残念ながら上陸はできませんが、夏にはラ・ロシェルから定期的に観光船がでているそうです。
遠くから見るだけではありますが、いつか行ってみたい場所です。