定年までに確認しておきたい5項目

この3月末をもって定年退職するという人も多いでしょう。
残すところ僅かなので、定年後の生活の方向性もほぼ決まっているのではないでしょうか。
定年退職までに忘れずに確認しておきたいことを整理してみました。

目次

健康保険

退職に伴い、今の会社の健康保険証は返却しないといけません。日本は国民皆保険ですので、何らかの保険に入る必要がありますが、定年後の働き方によってどの保険を選ぶか決まってきます。

〇退職後も再就職するなら、そこの健康保険に加入します。
*フルタイムでなくても、保険者の数が常時100人超の事業所に再就職する場合は、週の所定労働時間が20時間以上であると適応されます。(R6年10月からは50人超に変更。)

〇再就職しない場合は、国民健康保険」「任意継続」「家族の扶養」の三択です。

国民健康保険

退職日の翌日から14日以内に市区町村の窓口に申請します。前年の収入をもとに保険料を計算するので、定年退職前の収入が多いと保険料が高くなりがちです。フリーや自営の場合も加入します。

任意継続

継続して2か月以上の被保険者期間がある場合、退職後20日以内に手続きをすれば、2年間、今の保険に任意継続加入でき、現役時とほぼ同じ内容の給付が受けられます。事業主負担分がなくなるので、保険料は2倍になりますが、国民健康保険よりは安いと思われます。窓口は居住地域の協会けんぽ支部か健保組合です。

家族の扶養

家族が勤務する会社の健康保険の被扶養者になることもできます。負担なしで入れますが、60歳以上の場合、年収が180万円未満という要件があります。

雇用保険

定年退職後に再就職がすぐに決まらない場合、「失業手当」(雇用保険の基本手当)をもらえることがあります。
条件は下記のとおりです。

・現在、失業中(就職活動を行っているのにもかかわらず就職先が見つからない状態)
・退職日以前の2年間のうち、被保険者期間が12カ月以上ある。
・65歳の誕生日の前々日までに退職した。

条件に当てはまるかどうかはハローワークで判断されます。離職後、住所地にあるハローワークで「求職の申し込み」を行い、通算7日間の待期期間を経て認定を受けられます。

給付額は、退職する前の6か月間の給与の総額を180で割った額の45%~80%程度となります。原則として退職日の翌日から1年間しか受給資格がありません。被保険者であった期間により、90日から最大150日分の手当がもらえます。

退職金

退職金の手取り額は今後のライフプランに大きく関わってきます。
自分の退職金の額や受け取り方法をあらかじめ把握しておきましょう。

退職金にかかる税金

退職金の受け取り方には、「一時金として一括で受け取る」「年金払いとして分割で受け取る」「一時金と年金を併用する」の3パターンがあります。
会社によって異なるので、自分の会社がどのパターンなのか確認しておきましょう。

退職金には所得税と住民税が掛かりますが、受け取り方によって税金の額が変わってきます。
一般的に、一時金でもらう方が控除額が大きいので、負担は少ないです。

一時金の場合

退職金は、他の所得と分けて課税される分離課税です。

課税退職所得=(退職金―退職所得控除*)×1/2 で計算され、
 所得税 (課税退職所得×所得税率-控除額)×102.1 %(復興特別税) 
 住民税  課税退職所得×10%(一律)となります。

*退職所得控除額は勤続年数によって下記の通り計算します。

勤続20年以下の場合は  40万円×勤続年数
勤続20年を超える場合は 800万円+70万円×(勤続年数−20年)

◇例えば大卒で就職し60歳の定年退職まで勤続38年の人の退職金が2500万円の場合

  課税所得 [2500万円―{800万+70万×(38年-20年)}]×1/2=220万円
  所得税  (220万円×10%―97,500円)×102.1%=125,072円
  住民税   220万円×10%=22万円  となります。

退職所得の源泉徴収税額の速算表
課税退職所得金額(A)※所得税率(B)控除額(C)税額=((A)×(B)-(C))×102.1%
195万円以下5%0円((A)×5%)×102.1%
195万円を超え 330万円以下10%97,500円((A)×10%-97,500円)×102.1%
330万円を超え 695万円以下20%427,500円((A)×20%-427,500円)×102.1%
695万円を超え 900万円以下23%636,000円((A)×23%-636,000円)×102.1%
900万円を超え 1,800万円以下33%1,536,000円((A)×33%-1,536,000円)×102.1%
1,800万円を超え 4,000万円以下40%2,796,000円((A)×40%-2,796,000円)×102.1%
4,000万円超45%4,796,000円((A)×45%-4,796,000円)×102.1%

*退職金を一時金として受け取る場合は、原則として確定申告は必要ありません。勤務先に退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)を提出しておけば、源泉徴収で課税関係が終了します。

年金払いの場合

退職金を年金として分割で受け取る場合は「雑所得」となり、総合課税になります。

雑所得 = 退職金による年金や公的年金などの所得金額 - 公的年金等控除額 

控除額は、65歳未満が年60万円~(収入金額による)、65歳以上が年110万円~です。

 公的年金等の収入金額公的年金等に係る雑所得の金額
65歳未満60万円以下0円
60万円超130万円未満収入金額ー60万円
130万円以上410万円未満収入金額×0.75 ー27万5千円
410万円以上770万円未満収入金額×0.85 ー68万5千円
770万円以上1,000万円未満収入金額×0.95 ー145万5千円
1,000万円以上収入金額ー195万5千円
*公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が1000万円以下の場合

企業によっては、退職金の一部を一時金として受け取り、残りを年金として受け取れるところもあります。この場合、一時金として受け取る分は退職所得として、年金として受け取る分は雑所得として税額を計算します。

退職金の使い道

退職金を受け取る前に使い方をしっかりと考えておきましょう。何も考えずにまとまったお金を受け取ると、気が大きくなって浪費しかねません。

現時点での貯蓄額や退職後の収入見込みを踏まえて、退職金を、生活費に充当するのか、住宅ローンの返済などに充てるのか、当面は手を付けずに今後のために蓄えておくかなどを考えておきましょう。新NISAの活用も検討できるのではないでしょうか。

断捨離

不要なモノ、もう使わないだろうモノは、この際きれいさっぱり捨ててしましょう。

定年前のお片付けについてはこちらの記事もご覧下さい。

新しい生活のプランニング 

ここでは時間の使い方を考えてみましょう。現役時代の働き方がフルタイムだったとするならば(週休2日)、定年後どのような働き方を選ぶかによってライフスタイルが大きく変わってきます。

今、フルタイムで働いていて、定年後もフルタイムを選択したならば、ライフスタイルはほぼ変わりません。
定年後フルタイムを選ばない場合は、現役時代に比べて休日が1日や2日プラスになるので、時間的な余裕が生まれるはずです。何か新しいことを始めるのもいいでしょうし、これまでなかなか時間が取れなかったことに集中するのもいいでしょう。

セカンドライフでは自分時間の充実を第一にしましょう。

自分時間についてはこちらの記事もご覧下さい。

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この記事を書いた人

昨年定年退職した均等法1期生。
定年後もフルタイムで仕事を続けています。
定年後の不安を解消するため、お金の勉強をスタートしました。
新米のファイナンシャルプランナーでもあります。

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